2007年5月1日火曜日

新入社員を鍛える

日本能率協会によると、今年の新入社員は、やさしい上司から、手とり足とり仕事を教えてもらうことを期待している、との調査結果が出たようです。

確かに厳しい上司より、やさしい上司のほうが今の時代にあっているのかもしれません。

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「若手社員の考えていることが理解できない」

 多くのサラリーマンが部下の指導、育成に頭を悩ませているようだ。指導する側とされる側のギャップは大きい。

 日本能率協会が今年の新入社員に理想の上司・先輩像を聞いたところ、「人間的に魅力がある」(63・0%)、「丁寧な指導をする」(50・6%)上司・先輩に人気が集まった。

 新入社員は、優しくて思いやりのある上司から、手取り足取り仕事を教えてもらうことを期待しているらしい。

 一方、上司・先輩に日ごろの新人指導の方針を聞くと、「仕事を任せて見守る」が48・0%で最多だった。若手に対しては、自ら学んで主体的に成長するよう求めている。

 能率協会の水藤几僖(すいとうきよし)・常務理事によると、最近、「中間管理職(ミドル)の弱体化」を憂える経営者が増えているという。

 「人材育成がおろそかになっている。部下とのコミュニケーションがとれていない。現場での信じられないミスの多発もミドルの責任」というわけだ。

 バブル崩壊後、長引く不況のなかで、日本企業は生き残りをかけて組織や人事・労務制度を変更し、効率化を図ってきた。その過程で行き過ぎの弊害も目につくようになった。

 トヨタ自動車は1989年、課長や係長などの中間管理職を廃止した。ピラミッド型だった組織をフラットにし、意思決定を迅速にするためだ。かつての中間管理職は自らもプレーヤーの一人に変わった。

 ところが、こうした組織のもとでは、個々人がバラバラに仕事をするようになり、トヨタ自慢の集団で力を発揮する職場風土が薄れてしまった。

 「コミュニケーションや人材育成を基盤とした『職場力』『チームワーク』は弱まりつつあるのではないか」

 木下光男副社長が4月号の社内報で懸念を表明している。

 このため、トヨタは7月から全社で「チームリーダー」制を導入し、小集団ごとに、先輩社員が後輩や部下の指導・育成、管理にあたることにした。ミドルの復権といえよう。

 かつてのように、鬼軍曹がどなりつけるだけでは、若手はついてこない。「先輩の背中を見て学べ」と、後輩を突き放していると、いつまでたっても成長しない。

 これからのミドルは、部下を懇切丁寧に指導する必要がありそうだ。ミドルの働きぶりを評価する際の基準には、人材育成・若手教育の1項目を付け加えるべきだろう。

 日本企業の強さの源泉はチームプレーにある。今春、入社してきた新人をいかに鍛え、一人前の戦力に育て上げるか。ミドルの指導力が問われている。(編集委員 松田 陽三)

(2007年5月1日読売新聞より引用)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/ippitsu/at_ip_07050101.htm
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